24時間365日の安心を〜自分たちの街でどう実現するか〜

イベント情報

障害福祉サービスは百花繚乱なれど


みなさんは障がい福祉サービスは利用されていますか?
障害者総合支援法下では、福祉サービスは行政による措置から、利用者と事業者との契約になりました。
福祉事業の需要を満たしていない分野に関しては施設基準やサビ管などの人員配置などの要件さえ満たせば株式会社などでも参入できます。その結果、事業者が増え、競争原理が働き多様なサービス選べるようになった地域もあります。
この不況のおり福祉事業に関しては、国からの給付事業で安定した収益がえられると謳われ、他の業種と組み合わせでの参入や、さまざまな企業が異業種から参入しています。
グループホームや就労支援事業所、児童発達支援、放課後等ディサービスなどにはそういう業種転換を指南するフランチャイズ展開やコンサルテーションなども盛んです。
こういったフランチャイズではよい実践を素早く横展開でき動画での研修システムなどでクオリティを担保しようとする仕組みもあったりするようです。

さくらんぼつみで弾かれてしまう人たち



しかし、質云々以前に、供給量がすくない分野において経営者が理念なく収益優先で(※チェリーピッキング(さくらんぼつみ)、クリームスキミング、楽で収益性が高い利用者のみ選別すること。)が行われることもあるようです。
そういった場合、軽度の障害やいままで利用していなかった方にばかり広がり、新聞広告で利用者を募集したりする一方で、障害当事者の権利擁護も不十分なまま、市場のなかでのもっと可能性もあるかもしれない軽度の方は囲い込まれる一方で、重度の方は本当に大変な方は本人のせいにされて排除されてしまいます。
下手したら人権はどこへいったということすらあります。

そうなってくるといくら事業所の数は増えても、支援に技術が必要で手もかかる重度の利用者はサービスを選ぶこともできず、支援の隙間におちてしまいます。その一方、熱意のあるけれども不器用な事業所は大変な人ばかりを抱え収益が悪化し燃え尽きてしまうという構造的な問題があります。

そういうことがないように成年後見人制度などの権利擁護や意思決定支援の仕組みを活用、行政による監査や、虐待の防止、障害者総合支援法に基づき医療、教育、福祉、行政などを含めた自立支援協議会などで話し合い行政へも上げていく、そしてどうしても出来る隙間は社会福祉協議会がうめるという制度の立て付けになっていますが、このあたりはどの地域でも実際にはなかなか上手くいっていないように思います。

はるかぜの挑戦



全国的に緊急的な福祉などを含めて地域で生活を支えつづける地域生活拠点の整備がもとめられていますが、その中でも長野県の北信圏域、中野市の高水福祉会の総合安心センターはるかぜは全国的にも先進的な取り組みで注目されています。
長野県北信圏域は福祉会のレジェント福岡寿さんがいたところで、自立支援協議会が盛んです。対話により地域を紡ぎ、福祉の土壌も豊かだったのでしょう。

今回、そんな「総合安心センターはるかぜ」の野口さんのお話を聞くオンライン勉強会が、2月9日(水)に長野県自閉症協会中信地区自閉症こぶしの会主催で開催されます。

◎こぶしの会主催オンライン講演会
  日時:2022年2月9日(水)13:00-15:00

  講師:野口直樹氏
    (総合安心センターはるかぜ所長)

 テーマ:24時間365日の安心を
      ~自分たちの街でどう実現できるのか~
     ※詳細はこのチラシをご覧ください

申込方法:上記チラシ内のQRコードを読み取るか、こちらのフォームからお申し込みください
     締切後、視聴用URLをお知らせいたします(Youtube Live利用)

締め切り:2022年2月6日まで

http://kobusinokai9a.seesaa.net/


私自身、はるかぜを数年前に訪問させていただいたことがありますが、その後どんな進化を遂げているのかお聞きできるのがとても楽しみです。見学したときのレポートを転載いたしますのでよろしければ読んでみてください。

総合安心センターはるかぜ見学レポート

平成29年8月25日に、北信中野の、社会福祉法人高水福祉会、総合安心センターはるかぜさんに見学に行きましたので、そのレポートです。

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北信病院に発達障がいの研修で行く機会があったので、中野市の高水福祉会の「総合安心センターはるかぜ」さんを見学させていただき、代表の野口さんにお話をうかがいました。 

 「総合安心センターはるかぜ」は入所施設なども運営する社会福祉法人の内部留保を切り崩し、スタッフも地域展開して、家族や理事会や近隣の市町村行政との折衝を続け施設を解体しながら大胆に始め、地域に暮らす100名の登録者を18人のスタッフで365日、24時間支える仕組みをつくったそうです。

  登録者には在宅の知的障害、発達障害(自閉症)の方が多いが、統合失調症など精神疾患の方、身体障害の方もいます。制度としては18歳以上のハイリスクな方を登録して地域定着支援を利用しているそうですが、独自事業で地域ニーズに応えるべく私的契約もおこなっているそうです。 
もちろん生活支援には他の地域のサービス(生活介護、就労など・・)も利用して生活を支えています。その中で、緊急時の受け入れ、対応、入院や施設入所していた方への体験の場も提供が、はるかぜの役割です。

 はるかぜでは消防署や医療福祉の入所施設のような交代勤務で、常にスタッフが交代で詰めており、何もなければ何もないでおわります。
 一番大事なことはサービス調整会議、モニタリング会議で起こりうるクライシスに対してクライシスプランを作成しておくことで、特に、何が緊急事態のスタートなのかケースごとに決め、誰がどのように対応するか予め決めておき、すべての職員が顔合わせしておくそうです。そして 緊急のコールはコーディネーターに連絡ががあり登録書に従って判断し、スタッフを緊急派遣する仕組みになっています。

 被支援者が緊急コールするのはイライラや不安でたまらなかったり、粗暴行為が出たり、体調不良などのときが多いようで、このあたりは精神科訪問看護と同様だと思いました。 
 そして、地域定着で解決に至らない時は、常に2部屋空けている短期入所施設内の部屋に緊急短期入所で一次避難し、48時間以内に今後の支援対策会議を開催し登録書を見直して改訂し、共有をおこい、支援体制など予防的な介入を強化するところまで仕組み化されているそうです。


 昨年は年間100件の駆けつけ、60件の緊急ショートの利用があったそうですが、安心でき、地域の対応能力が上がることで緊急派遣も緊急ショートも減っているそうです。 このスピード感が鍵で、不必要な入院や入所を防ぎ、長期の入院や入所になってしなった方も再度、地域で暮らしも選択できるようになってきているとのことでした。

  実は施設などの個別性のない状況が強度行動障害を助長している面もあり、地域で個別性をもった生活を保証することで入所者を減らすことができ、画一的生活の緩和と個別化が充実できるそうです。 

 施設でなければ部屋にモノを溜め込むのも、火と匂いさえ出さなければ、自由でいい、一人暮らしか、相性のいい人とシェアしてすむのがいい人はそうすればいい。 そこにそっと見守りと支えをいれていく。 そうして逆に入所施設の利用者がへると、本当に必要な人に施設入所が選択肢になりうるとのことでした。

 制度に乗れない人(例えば若年者)や他の事業所のGHとして私的契約もおこなっていて、同様に登録して利用できるようにすることで地域の事業所を支援し、隙間をうめているそうです。
 個別性が強い障害者をあらかじめ登録書とプラン、バックアップ体制をしっかり作ることで初心者のスタッフでも迷わず対応できるようにし、研修などでスキルをアップしていくことで人を育てているとのことでした。 
 こういった活動をつづけ地域の日中活動の事業所や余暇活動支援、短期入所、行動援護の事業所が増え、365日24時間の対応ができるようになると緊急対応はへるとのことで、望まぬ施設入所の人の増減をメルクマールとして活動しているとのことでした。


  高齢者でも365日、24時間対応の小規模多機能事業所や、定期巡回、随時対応型訪問介護看護やなど面で支える仕組みもできてきています(オランダのビュートゾルフなどもモデル)。また精神障害の分野でいえば医療の関わりがもう少しあればACTモデル(Assertive Community Therapy)もほとんど類似のコンセプトのように思います。はるかぜモデルに医療も加わり、健康管理や身体合併症、アセスメントなどで医療がバックアップで協働できればさらに多様なニーズに応えられる最強のモデルになるだろうと思います。

報酬や人件費など経営的な数字のことなどもお聞きしましたが、お願いして行政からの補助金など入れているものの、事業としてはまだ赤字であり、母体の入所施設等ももつ社会福祉法人のバックアップがあるからできるという側面もあるようです。  中信地域では、内部留保を切り崩しての地域支援に本気を出してくれる社会福祉法人でてこなければ、他の地域で同じような形は難しいかもしれません。

それでも情報共有の体制をつくりホームヘルプサービスや行動援護を増やして日中活動や短期入所の事業所と協働していくことで関われる人や場を増やしていったり、ケースごとにクライシスプランをつくり、さしあたって48時間以内の出口会議をする上で、緊急入所をさしあたっては医療が担う(担えるか?)というようなことは中信エリアでもはじめていけそうだと思いました。

野口さんのインタビュー動画もどうぞ

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