免許の更新のため、篠ノ井の運転免許センターに行ってきました。週末ということもあってか、駐車場は満車に近く、来場者の多さが目立ちました。
センターは古めかしい校舎のような建物で、受付まわりも非常にアナログです。交通安全協会への入会(いわゆる警察OBの天下り先)を、詐欺師も顔負けのさりげなさで“デフォルトのように”勧めてくる様子や、収入印紙の購入を職員が代行する流れなど、全体としてコストのかけ方に疑問が残りました。
こうした形式は、あえて国民を“わざわざ来させる”こと自体に意味があるのでしょう。
精神保健指定医講習と同様で、ある種の制度的なマウントを感じさせます。
会場内の動線は一定の構造化がされてはいるものの、呼び出しは音声で名前を呼ぶのみなど、もう少し視覚的構造化の工夫がなされると知的、発達障害の方などもストレスなく受講できるかとおもいました。
また優良運転者にはオンライン講習が可能な地域も出てきているようです。本来全国一律で運用されるべき制度なのだから、スマホアプリ化やキャッシュレス決済など、もっと利便性の高い選択肢があっても良いと感じました。今後は免許証とマイナンバーカードの統合も進むようですが、制度そのものも、よりシンプルになってほしいものです。
講習の内容は主に映像視聴で構成されており、全国共通と思われる教材に加え、長野県独自の映像と講師による解説が組み合わされていました。
特に印象的だったのは、千原せいじ主演のミニ映画でした。仕事が順調で、娘とも仲の良い父親が、後輩のミスをかばうために飲酒運転をしてしまい、事故を起こすというストーリーです。被害者側は誕生日帰りの親子で、父は死亡、息子は重度の意識障害を負うという悲劇。そして加害者側も、繰り返すフラッシュバックやアルコール依存への不安、家庭の崩壊、娘のいじめや虐待など、関係者全員の人生が根底から変わっていく過程が描かれていました。
加害者も何度もフラッシュバックして、アルコール依存や自殺しないかとか、加害者の娘さんが、いじめや余裕のない母からの虐待をうけていたり、両親が離婚し、「ママが再婚しました。新しいパパは嫌いです。」という手紙が獄中に来るなど娘まで逆境的な環境にさせるのが非常に心配になりました。
講師の話は、点数制度や法改正のポイントを「知っておくと便利ですよ」と、講談調で淡々と語るスタイル。おそらく警察OBか交通安全協会のベテラン講師なのでしょう。先ほどの映像の重さとのギャップがむしろ印象に残り、内容の切り替えとしても効果的でした。
情報の伝え方や印象づけの工夫という点で、これはヘルスコミュニケーション(健康行動の変容を促す情報発信)としても参考になると感じました。