学生さんからの質問への回答

中学生の探索研究の関係で、質問をいただきました。簡単に答えてみたのを共有します。

質問①:相談に来られる方々のうち、どのような症状の方が多いですか?

眠れない日がつづいたり、死にたくなったり、誰に相談していいかわからないことがあれば精神科に来てねといってます。

いろいろ検査してもわからない原因不明の身体症状があって内科や小児科などの医師などから紹介されることもあります。

気分が落ち込んだり異常に高揚するなど気分の問題、眠れない、寝過ぎるなどの睡眠の障害、希死念慮や過敏さがましたり被害的になるなど認知の問題、行動が制御できないなどの行動の問題など様々です。家族内のトラブルなど人間関係の問題の相談もあります。周囲の人とうまくやれない、学校や職場などの社会で適応できないなどの社会性のことについても相談がもちこまれることが増えました。

行動がまとまらない、自傷や他害、触法などの方が司法や警察や保健所、学校や職域などを通じて様々なルートで相談にこられます。本人だけではなく支援している立場の方からの相談も多いです。

躁状態やうつ状態、幻覚妄想状態など精神疾患に由来する精神症状のために本人の混乱が多く、どうしても自分や他人を守れないときに、一時的に家族の同意や公的機関の監査をえながら本人の人権をお預かりして保護や治療を行う枠組みが精神科医療(特に入院医療)にはあります。
このあたりが正常心理を中心にした心理カウンセリングと精神医療の相違点かもしれません。

質問②:心に負担がかかっている、、心の病を患っている方々には、どのような声がけ・対応をするべきか、または放っておくべきか?

まず本人の体験を十分に聞き、コメントははさまず共有し、側にいることで安全を確保してください。本人から求められた時には一つの意見としてアドバイスをしてもいいですが、共感をもとめているだけの場合もあります。あなたのことを心配していることは伝え、自分のできる範囲でできることは助け、出来ないことは、他の人や専門家につないでいただければと思います。

質問③:私はたまに、イライラが我慢できなくなり、大声を出してしまったり、壁を殴ったり、急に泣き出したりしてしまうのですが、どのように鬱憤を晴らせばよいですか?

まず、しっかり寝て食べることと、書き出したり、相手を選んで愚痴ったり話しをきいてもらうことを考えてみたらいいとおもいます。その時の状況、自分の感情や考え、まずできること、にわけて整理して書き出してみると見えてくることもあるかとおもいます。

質問②につながりますが、適切な相談相手に、気持ちや状況の整理をてつだってもらうことで、色々気づいたりすることもあるとおもいます。

大声を出したり、壁を殴ったり、急に泣き出すのは不器用ですが立派な対処です。

そこから、だれかをびっくりさせたり自分や他人を傷つける可能性がひくい、よりTPOにあった方法にしていけば立派なセルフケアになります。カラオケボックスで大声で歌う、ボクシングジムで殴ったり、紙をビリビリに破く、悲しい映画やドラマをみて泣くなどに発展させてみてください。

もしパワハラやいじめ、虐待など権利侵害されているのであれば、きちんと対話をしたり然るべき機関に申し立てしてその状態を解消しましょう。

質問④ 相談者と関わる中で心掛けていることは何ですか?

勇気をだして助けを求めてきた方に、助けをもとめてよかったと思ってもらうことがまず大切です。そういう人が増えることで世界の信頼感を保つことができます。

安全な場の確保、衣食足りて礼節を知るというところもあります。さまざまな福祉制度や社会保障制度につないで活用することもまず大切です。

ただ、本人に代わってあげることはできないので、本人の葛藤を奪わず、課題を丸投げはさせず適切に悩める環境を整え、一緒に考えて行動を促し、振り返りを繰り返す中で徐々に自分で自分を助けるスキルや周りの人とうまくやるスキルを増やすような関わりもおこないます。自分にあった場で自分にあった生き方が見つけられるように応援していきます。

このあたりは子育てや教育と似た側面もありますね。

質問⑤:自分がもしこころ病を患うことがあれば、まずは誰に相談するべきですか?

自分の行動や思考、メンタル不調というのは振り返って見えにくいものですので、こころの病を患ったことにも気づかないかもしれません。まだまだネガティブなイメージ(スティグマ)はありますから、自分がこころの病にかかるはずはないと否認している場合もあります。

もし自分で解決できない問題を抱えたときは、違うタイプのいろんな世界の信頼できる複数の人に相談してみてください。そこまでの元気や余裕がない、誰に相談していいかわからないときは精神科への受診も考えてみてください。

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