手抜き家事のススメ(掃除・片付け編)

思ったように動けなくなる精神疾患

発達障害にしろ、統合失調症にしろ、うつ病などの気分障害にしろ精神疾患があると、とにかく疲れやすく、それまでできていたともできなくなったりします。
そして何をするのも気力にかけおっくうだといった時期がながいので大変です。

これは人をスマホなどの電気機器に例えると、充電機やバッテリーのコントローラーが不調で、エネルギーがうまくたまらなかったりする状態、あるいはアプリの消費電力が増えてしまって、すぐにバッテリーが尽きてしまったりする状態といえるでしょう。

そうすると、日々のエネルギーの充電器にあたる住まいは荒れ、身近な人間関係も荒みピリピリしてきます。
余裕やあそびのない、そういう空間や人間関係では休息できずなおさらエネルギーがたまらないという悪循環にすぐなってしまいます。

そういったときにはは様々な手段で、いったんバッテリーをしっかりと休めてまずは十分に充電することをすすめます。そして自分で意図していないのに、やたら電気を消費するアプリなどは取り除いていったり(その極が依存症ですね)、エネルギーが溜まりやすい環境づくりといったことをやっていきます。

ですので精神障害、精神疾患においては暮らしの時間、空間を整え、人間関係を整え、お金を整え、その人なりにエネルギーが循環するように環境を整えていくのが重要な治療であり支援になります。

人生はメンテナンスが9割です。


これらは自分自身にとっても日々精進中のテーマでもあり、診察室でも話題にすることが多いテーマです。
これが果たして医療であり、精神療法なのかということはさておき、だれにとっても関係があり、役に立つ話題ですので、日々、様々なアイディアを仕入れ、試し、交換しています。

また、ディケアのプログラムでもみんなで料理をしたり、ヤフオクで不用品を処分したり、日常の家事のコツなどをテーマにトークしたりしています。人と一緒に動いてみたり、他の人の話を聞くと自分ではこうしてみようというヒント得られやってみようという気になります。

また、かとうメンタルクリニックでは、受診されている方で必要な方には、訪問看護として看護師やPSWが自宅に訪問して一緒に片付けをするなどということもやっていたりもします。

なかなか難しい片づけ

今回は環境のメンテナンスの要である掃除と片付けについて述べてみたいと思います。

これはやれている人には何の造作もない作業なのでしょうが、苦手な人には本当に苦手な作業です。
片付けられず苦しいのに自分ではどうにもできない「ためこみ症」というカテゴリーが最新の精神疾患のカタログ(DSM5)に収載され、その原因や治療、支援について研究されたりもするくらい深いテーマになってきます。
ためこみ症には、様々な背景があり、心理的支援と実際的支援、情報的支援の全てが必要となってきますね。

いかにものを増やさないか、自分が把握している範囲におさめて、持っているものが暮らしを苦しくする収納破産の状態にしないか、そしていかに楽に片付いた状態を維持できるかという仕組みをつくるのが何より大事になってきます。やましたひでこさんの言う「断捨離」ですね。

そういえば分別がやたら細かい市町村では、ゴミをだすことが難しすぎて、だせずにゴミに埋もれてしまう人も結構おり、特にきちんとしなきゃと思う真面目な人ほどそうなりがちなようです。
ゴミを種類ごとに非常に細かく分けたり、生ゴミは水を切って専用の紙袋にいれて決まった日に出すとか、アパートぐらしの一人暮らしとか無理だろうと思います。
自分も一人暮らしをして田舎の病院に勤務し当直(夜勤)などもしょっちゅうあったときは、ゴミの回収日も少なく、朝の適切な時間に分別した上でゴミを出すのは物理的になかなか難しかったです。分別が不十分でダメだからと回収されずに、見せしめのように置いて置かれたり放置されていたりしたこともあり、トラウマになりゴミをだすのが怖くなりました。

特に知的障害や精神疾患、認知症があったり、車をもっていなかったり、近所付き合いが乏しかったりするとなおさらゴミ出しというのは難しいと思うので、その部分だけ精神科訪問看護やヘルパーさんに入ってもらって支援をしたりということもあったりもします。
定期的に人がくることで片付いた状態を維持できるというモチベーションになることもあります。

物を増やさない片付けの工夫

さて片付けですが、最初の一歩としては部屋や家の出入り口の近くの一等地に、大きめのゴミ箱、ゴミ袋をおいておき、移動するたびに動くたびに両手でつかめるだけ2〜3個のものを付けることにするのはおすすめです。
どこかにしまい込むのではなく、不要なものはその場でできるだけ捨てるのがいいです。
そして「燃えろゴミ!」と、ゴミ袋がいっぱいになっていてもいなくても、ゴミの日には必ず出すようにします。

またスーパーの持ち帰り用の大きめのかごに、牛乳パックや発泡スチロールのパック、アルミ缶などは入れておいて、買い物に行ったときに持参するようにしてリサイクルボックスに入れるようにします。

こうして、捨てられるものは捨てて、リサイクルできるものはリサイクルして、分別もリサイクルしきれないものだけを大掃除のときや引っ越しのときなどに業者やラーラに持ち込むなどして1kg数十円で処分してもらいます。

掃除は楽しくちょこちょこと

さて掃除ですが、コードレスのハンディ掃除がおすすめです。
特に新幹線や病院の掃除でも使われているマキタの業務用の掃除機は、バッテリーが別になっており専用充電器で充電する、草刈機や電動ドリル他のものと使いまわしが出来る仕組みになっていて、とてもパワフルなので便利おすすめです。
中途半端な安物のコードレス掃除機はパワーが足りずに掃除をする気分になりません。

取り回しもめんどうな大きな掃除機はなかなか引っ張り出す気にはなりませんが、ハンディ掃除機なら家の一等地に引っ掛けておき、ちょっと移動するときにはちゃちゃっと掃除しながら動くと、部屋やトイレや階段の掃除などはそれですんでしまいます。

筋トレや運動にもなりますね。

ある程度の広さのある部屋に住んでいる方はルンバやルーロなどのロボット掃除機の導入がおすすめです。
ロボット掃除機は、むしろ片付けを促す道具として使うのがいいでしょう。

ロボット掃除機は外出中などに細かなホコリや砂も文句も言わず全部掃除してくれて、健気で気持ちがいいですが、片付いていない部屋だと靴下を巻き込んだり、はまり込んで身動きがとれなくなったりして、遭難したりします。
だから遭難しないようにさっと片付けてから出かけたりすると、家に帰るのが楽しみになります。
休日等は、ロボット掃除機と一緒に、引っかからないように片付けをしながら、コードレスのハンディ掃除機をもって一緒に掃除すると孤独感もなく楽しく掃除できます。
健気に掃除をする動きが生き物的で楽しいので名前をつけたりしてペットのように可愛がることもできます。

私の場合はロボット掃除機とコードレスハンディ掃除機を買ったら、これで十分で、引き回しの難しい大きな掃除機は使わずじゃまになるので処分してしまいました。

掃除や片付けをはじめるときは3分だけタイマーをセットしたり、コーヒーメーカーをセットしてコーヒーを落としている時間だけ無理やり動きます。3分だけにしようとおもっていても、少し片付いてくるともう少し片付けたくなるものです。何事も動き始めるのが一番大変ですので、時間を決めて、ご褒美を用意してえいやっと始めましょう。

テーマ曲をきめて掃除するのもいいかもしれません。
私の場合、小学校の時の掃除の時間にはチャイコフスキーの「白鳥の湖」がいつもかかっていたので、その音楽を聞くと掃除をしなければいけないような気がしてしまうのを利用して、掃除をやるときには流したりもします。

ADHDがあると、今、何をしていたのかというのが、他の刺激ですぐに上書きされ、頭からかき消えてしまいいつの間にか違うことをやってしまって掃除や片づけがすすみませんので、こういう工夫は必須ですね。

もう少し本格的に掃除や片付けをするときは、「やましたひでこの断捨離チャンネル」や、「こんまりさんの片付けの魔法」、その他の片付け術などのオーディオブックやYoutube、Clubhouseを聞きながらやると、動きが止まりにくい上に、話の内容から片付けに勢いがつくのでおすすめです。

ただ、「人生がときめく片付けの魔法」に触発されて、「片付けは祭りだ〜」と止まらなくなり躁転した方もいましたので、双極性障害の方はご注意を。




いろいろありますので部屋のサイズ、機能、値段、筋力などで選んでくださいね。

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