チューリップが開いているときに

5月から、新患を受け始めて、毎日1〜2人程度の新規患者様をみさせていただいております。

今困っている方もいれば、落ち着いていているが、つながっておきたいという方もいます。
お薬や診断書が必要な方もいれば、相談だけの方もいます。

中高校生を中心に、ニーズはあるけれども、他のところで診られる医療機関が少ない方が多いです。
特に中学3年生から高校1年生の相談が多いですね。
知的・発達障害に、種々の精神障害の併存している方、親子関係が難しくなっている方が多いです。
不登校や学校不適応、進路選択の相談や進学したけれども行けなくなってしまったなど、親が最初に相談に来られることもあれば、本人から希望してということもあります。
教育相談や相談支援、スクールカウンセラーなどの支援者からの紹介で受診という方が多く、支援者と協働して医療面から支援するというのも心がけています。

思春期は小児科と精神科のちょうど間の時期であり、どちらからも及び腰になるようです。

また信大の子どものこころ診療部は初診は中学まで、信大の精神科は高校生以上ですが、初診が1年待ちということになると、中学3年生は結局どちらからも診られないということになってしまいます。最近は児童思春期病棟のある松南病院でも、信大の子どものこころ診療部と精神科で研修した医師が行くようになり診療体制が充実してきているようです。

精神療法の20歳未満加算があるとは言え、本人に聞いて、親に聞いて、学校に聞いて、対話を促し、支援者ともつなげてとやっているとなかなか短時間の診療ではおわらず民間では採算性がないということもあるでしょう。市町村によっては高校生年代は福祉医療が効かなくなってしまうのも痛いところです。

精神疾患の診断治療のみならず、メンタルヘルス上の諸問題の解決や、生活支援の起点としての役割があるのを感じます。親離れ、子離れもテーマになります。イギリスのユースクリニックのように本人の意志で自己負担少なく医療相談できるようになればいいのですが・・。

初診や特別な場合をのぞけば、時間をかけての個別のカウンセリングによるセラピーを継続するというのは難しく、アセスメント力を磨いて、本人を中心にいい支援の設計図を描いて、他の支援者とともにチームを組んで選択肢や応援団がひろがって選べるようにと、使えるものは総動員します。
特に当事者会や自助グループや親の会活動、様々なフォーマル、インフォーマルの支援機関などとも連携しています。

クリニックでの臨床自体は、これまでも週1で長くやっていましたが、30年の歴史のあるクリニックで、加藤先生の患者さんも一部引き継がせていただき、企業などで働く人のメンタルヘルスというところもまた診るようになりました。
高齢者や身体疾患に関してはセッティング上、積極的ではありませんが、時々相談はあり、ワンストップで受診された方が少なくともいい方向に向かうようにできることはさせていただいております。

検査やスタッフ体制など病院とも行政機関ともできることとは違いますが、小回りがきく市中のクリニックというのを活かして、フットワーク良く、危機介入から、メンタルヘルス向上、予防、それからパブリックヘルスまでグラデーションのある活動が出来てきていると思います。

なかなか受けられることが少なくなりましたが、保健所からの依頼での措置鑑定などは、警察官や市民通報をうけて自傷他害の恐れのある方を保健所からの依頼で、精神疾患による自傷他害の恐れがあり入院医療の必要性があるかどうかを鑑定するものです。
措置通報の件数自体都道府県ごとでだいぶ違うようで、本当はそこまでいたらないような文化にしていきたいところです。

そこでオープンダイアローグに注目しています。
オープンダイアローグとはフィンランドでの精神医療の実践で、精神的なクライシス状態になったときに患者や家族から連絡をもらうと2人の支援者が24時間以内に訪問し、本人に関係する人を招集して繰り返しの対話をおこない改善を目指す療法のことです。

診察室での診療で、もともとの形をそのままやるのは難しいのですが。いまは、皆さんスマホをもっていますので、オンラインなどで診察同行などもできたり、一人協力者がいれば、会場まででむかなくても診察室から支援会議に参加できるようになりましたのでそれに近い対話を継続することを意識した診療をやっています。

クライシス状態が起こったときになるべく早く介入できる事が大事で、クライシス状態というのはパチンコでいえば大当たりのチューリップが開いている状態で、タイミングを逸さずに一気に関係性の修復、対話からはいると、介入の効果も大きいチャンスなのです。
できるだけタイムリーに診察させていただくために、予約をあまり先までとることはせずに、受付は翌月までにしております。

お急ぎでない方、小児科からの移行のケース、紹介のケースなどは月初めに翌月の予約を受け付けますので、そこでご相談ください。
緊急性のあるものに関しては、緊急度に応じて、空いたところで順次みさせていただいておりますが、医療につながっていないケース、他の医師のたくさんいる医療機関でも、あまり診ていない群のケースを優先させていただいております。

どうぞよろしくおねがいします。

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